※この記事は、駐在所勤務の警察官の妻である友人たちから聞いた経験談をもとに構成しています。
駐在所の運用や家族の役割、手当・規定などは、地域や所属署によって異なる場合があります。
特定の制度やルールを断定するものではなく、体験ベースの情報としてお読みください。
「駐在所の妻は働けないらしい。」
そんな言葉を見聞きして、そうなの?と思ったことはありませんか。
実際に調べてみると、働けなかった人の声もあれば、形を変えて働いている人の話もあります。 この記事では、編集部スタッフの友人たちの経験談をもとに、
「なぜ働けないと思われるのか。」「どう折り合いをつけているのか。」を、
整理していきます。
「働けない」と言われる駐在所の妻には、共通する現実がありました
駐在所の妻が働きづらいと言われる背景には、制度だけでなく生活そのものの特徴があります。 実際に話を聞いてみると、「禁止されている」というより、
「そうせざるを得ない空気」があった、という声が多く聞かれました。
まずは、よく挙がる理由から見ていきます。
駐在所は「自宅兼職場」だから、常に家にいる前提で見られやすい
友人の話であったのが、「意外と仕事とプライベート分けられているよ。」という声です。
駐在所は自宅と勤務場所が一体になっているため、完全なプライベート空間が作りにくいと感じる人もいます。
でもその友人は過ごしやすく感じているようでした。
「外で働く=家を空けること」に対して、必要以上に気を遣ってしまうケースもあるようです。
実際には明確な禁止がなくても、
「何かあったらどうしよう」「不在にしていいのかな」と考えてしまい、
働く選択肢を狭めてしまう人もいました。
家を空けづらいと感じる理由
- 来客や電話があるかもしれないという意識が常にある。
- 不在時の対応を誰に任せるか悩む。
- 地域の人に見られている感覚がある。
「いないと困る存在かも」と思い込んでしまう心理
友人の多くが口にしていたのは、「実際に困るかどうかよりも、
自分がいないといけない気がしてしまう」という感覚でした。
駐在所では警察官による巡回や別の対応体制があるため、
必ずしも妻だけが常に在宅していなければならないわけではありません。
それでも、「もし自分がいなかったら」と考えてしまい、自然と責任を背負い込んでしまう人もいるようです。
こうした気持ちは、誰かに強く言われた結果というより、
環境の中で少しずつ生まれてくる思い込みの場合もあります。
その思い込みが強くなるほど、働くこと自体にブレーキがかかり、
精神的な負担として感じやすくなるのかもしれません。
来客や電話対応があることで、外で働くハードルが一気に上がる
駐在所によって頻度は違いますが、日中に訪問者が来たり、電話が鳴ることがあるという話はよく聞きます。
友人の中には、「たまたま不在だっただけなのに、後で気まずくなった」と感じた人もいました。 こうした経験が重なると、不安になり、外で働くことをためらってしまいますね。
実際に「働けなかった」駐在所の妻たちのリアルな経験談

私の友人たちに話を聞いていくと、
「最初から働く気がなかった」わけではない人がほとんどでした。
むしろ「できれば少しでも働きたかった」という声のほうが多く、
難しさに直面したという流れがあるかもしれません。
短時間パートを始めようとしても、急な対応で続かなかった
ある友人は、「午前中だけの短時間パートなら無理なく続けられるかも」と考えて、
働き始めようとしていました。
ところが、「旦那さんが駐在所勤務なら、働くのは難しいんじゃない?」と周囲から聞かれる場面があり、 そこで初めて、警察官である夫に気持ちを確認したそうです。
すると夫からは、「できれば家にいてくれた方が助かるし、支えてもらえるとありがたい」という言葉が返ってきました。
強く止められたわけではありませんが、その一言をきっかけに、
「今は駐在所にいる役割を優先しよう」と考えるようになったと話していました。
直接注意されたり、禁止されたりしたわけではなくても、 周囲の反応や自分の中の迷いが重なり、結果的に働き続けることがつらくなってしまったそうです。
短時間でも難しいと感じた理由
- 夫の不在時、家を留守にしにくい。
- 職場と駐在所、両方に気を配る状態がある。
働く以前に、気持ちの余裕が削られてしまったケース
友人は、「駐在所勤務で家にいる生活がどうなるのか、最初は正直不安だった」と話していました。
ただ、実際に暮らしてみると、警察官同士の巡回や協力体制が思っていたより整っていて、
住まいも新しく、生活自体は想像以上に快適だったそうです。
それでも、短時間でも外に働きに出ようとすると、 駐在所側と職場側の両方に気を配り続ける必要があり、 仕事を始める前の段階で、気持ちの余裕が少しずつ削られていったと振り返っていました。
「働けないというより、気持ちが追いつかなかった感じ」と表現していたのが印象的でした。
一方で「工夫すれば働けた」妻たちに共通していた考え方

働けなかったという声がある一方で、「完全に無理だったわけではない」という方もいます。
一般的な働き方に当てはめず、生活に合う形を探していた点が共通していました。
外に出る働き方ではなく、家を離れない仕事を選んでいた
在宅で完結する仕事を選ぶことで、精神的な負担が軽くなったという声がありました。
「働く=外に出る」という前提を外したことで、続けやすくなったそうです。
まとめ|駐在所の妻が「働けない」と感じるのは、能力の問題ではない

「駐在所の妻は働けない」と言われることがありますが、
友人たちの経験談を重ねて聞いていく中で感じたのは、
それが能力や意欲の問題として語れるものではない、ということでした。
多くの場合、実際の制度や明確なルールそのものよりも、
駐在所という生活環境の特殊さや、地域の中で暮らすことへの気遣い、
そして「自分が家にいた方がいいのでは」という自然に生まれる思いが重なり合って、
結果的に「働きづらい」と感じているケースが多いように思います。
実際には、巡回や協力体制が整っている地域もあり、 必ずしも妻だけが常に家を守らなければならない状況ばかりではありません。
それでも、「もし何かあったら」「自分がいなかったら」と考えてしまい、
知らず知らずのうちに責任を背負い込んでしまう人も少なくないようでした。
こうした気持ちは、誰かに強く求められた結果というより、 環境の中で少しずつ育っていくものなのかもしれません。
今は働かない選択をしている人も、環境や家族の状況が変われば、 考え方や選択肢が自然と変わっていくこともあります。
子どもの成長や配置換え、生活リズムの変化などによって、
「今ならできそう」と感じるタイミングが来る人もいるでしょう。
特に新婚さんや、子育て真っ最中の方にとっては駐在所勤務はある程度の手当も
もらえて、おすすめかもしれません。
働くかどうかに正解や不正解はなく、 その時々の家庭に合った形を選んでいけばいいのだと思います。
この記事が、「自分だけができていないのでは」と感じていた人にとって、
少し肩の力を抜くきっかけになればうれしいです。
駐在所の妻として過ごす日々の中で、 無理をしすぎず、自分たちなりのバランスを見つけていくことが、 結果的にいちばん長く安心して続けられる道なのかもしれません。

